Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子(三) (ちよこ(さん)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.906 Zeichen · 54 Bildschirme
何にも昔のでなけりゃあ、いけないって云うわけもないだろうのに。
自分で作ったものは気に入らなくってもあたる人がないから一番いい。
それにねえ、若し自分より前の人が自分より達者に同じ物を描いたのでも見るときっと破くか見えない所にしまうかしなければ安心が出来ない様な事が起こって来るもの。
「だって私にはそう都合よく行かないんだもの。
「仕て出来ない事ってありゃしない。
「そう云えばそれっきりだ。
二人はぽつりぽつりとこんな事を話した。
「あんなにしてわざわざ来てもらっても思いのほかだ」
いつもの通りの不平が千世子の心に湧いて来た。
そう思うと京子が自分の傍に座って居るのが何とはなしに「やっかい」ものがある様に思えて来た。
わきの時計を見上げて千世子は横目に京子の方を見ながら、
「ああああ、もう十時半になっちゃった。
とつぶやく様に云った。
「ほんとうにねえ。
もう帰ろう、あしたまた八時っから小石川へ行かなけりゃあならないんだもの。
今の仕事が片づくと当分は自由で居られる。
京子は立ちあがって「おはしょり」をなおしながらこれから家に帰ってねるまでの事を話したりした。