Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

(誰奴だろう)

と、振向くと、それは、牧仲太郎警固のために、国許からついて来た侍の中の一人、山内という剣道の名手であった。

(強い筈だ)

と、思った。そして

(木の枝を、頭へぶら下げちゃあ歩けねえや。こん畜生め)

力を入れて引くと、髪の根が痛かった。山内は、木戸から、小藤次を突き出して

「二度と入ると、棄ておかんぞ」

と、睨みつけた。

「深雪かえ」

深雪は、闇の中で、絶壁から、墜落して行くように感じた。

「何をしておじゃるえ」

蛇が、身体中を、締めつけて来るような声に感じた。

「はい」

深雪は、廊下へ、手をついてしまった。

「ついて来や」

「はい」

梅野は、板戸の中へ入ってしまった。深雪は

(何う云って、云い抜けたらいいのか?――云いぬけられるか?――もし、云い抜けられなかったら、何うなるのか?――お由羅の調伏を見届けもせずに、小藤次風情と、不義の汚名をきて、罪にされたら――)

と、思うと

(小藤次のような人間でも、人を欺した罰かしら)

と、思えた。

六畳の部屋は、行燈に、ほのかに照し出されていた。

(今時分まで、何うして、この老女だけが起きているのか? 祈祷の係ともちがうのに)