Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
誰も、黙って、答えなかった。
赤山靱負久普は、一所持と称される家格の人であった。一所持、一所持格といえば、御一門四家につづく家柄であった。
御一門とは、重富、加持木、垂水、今和泉の領主で、悉く、宗家の二男の人々の家であった。それに次ぐのが、この一所持で、三男以下の人々の家柄を指すのであった。靱負は、即ち、城代家老、島津和泉久風の二男で、日置郡日置郷六千五百六十四石の領主である。そして、この靱負の日置家が、筆頭で、花岡、宮の城、都の城よりは、上席の身分――この一座の中では、抜群の家柄の人であった。その靱負が
「久光を、討取ろう」
と、云い出したのであるから、暫くは、誰も答えなかった。明らかに、禍根は、久光がいるからではあったが、この陰謀は、久光の手から起っているものではなかったし、久光は、人々の主君であった。何うあろうとも、主君へ鉄砲を向けることは、出来難いことであった。然し、靱負から見た久光は、人々の見た久光よりもっと軽かった。靱負自身としては、大してちがいのない地位の人であった。だから、英明なる斉彬のために、久光を討つことぐらいは、靱負としては、大したことでないと考えられた。