Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「そう叱ってはいかん」

と、首を出してから、ゆるゆる立上って入って来た。

「老師」

小太郎は、義観へ、微笑した。

「暁頃に、誰か、忍んで参りましたが――」

「猿じゃろう」

義観は、こともなげに答えた。小太郎は、義観が、猿だと信じているのへ、押返して聞くのは、悪いような気もしたが

「いいえ――老師は、馬鹿と、一喝なされましたが」

小太郎は、義観の眼を、下から、じっと凝視めながら

「猿ではござりませぬ」

「猿みたいなものじゃ、猿ではないが――」

「忍びよる気配には殺気がござりました」

「感じたか」

「害心無きものの近づく音とはちがっておりました」

「のう、妹御」

と、義観は、綱手の正面から

「昨夜、遅くに、小太郎を殺そうと、忍んで来た者がいた。わしが、一喝したら、転げて逃げた。心当りがあるか」

綱手は、自分が、百城と、愛欲の世界に歓喜している間にも、兄にはそんなことが、起っているのか、と思うと、心の底から済まぬように感じたが――そう感じた刹那

(あの畳の上の土、砂――)

綱手は、全身を蒼白めさせた。

(もしかしたなら、百城様が――いいや、いいや、決して、そんなことは、そんなことを百城様が)