Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

「心当り?――さあ」

と、口だけで答えて、じっと、俯向いていたが

(急に、大阪へ戻ると云って、暁に立って行ったのも、怪しい、と思えば、怪しいが――百城様が、そんな――あの、やさしい、頼もしい百城様が、そんな、兄を殺すなどという)

打消したが、綱手には、立っている崖が崩れかけたように感じた。遥かの下に渦巻いている深淵へ陥込んで行くような、絶望さを感じてきた。

「よく、剣禅一致と申すことを聞きまするが、不立文字にて、生死を超越する境地は、剣も、禅も同じと致しまして、昨夜の、馬鹿と申された一喝、その気合の鋭さは、剣客の気合とても遠く及ばぬ気魄が、迸っておりまして、某の腹の中へも、ぐゎーんと響いて、暫く、呆然としておりました。最初に、何んの用か、と、やさしく聞いて、敵の意表に出で、後に虚を衝いての一喝、その虚実の妙――」

「よしよし、もう判った。ところで、女、気をつけるがよいぞ」

「はい」

「よく考えてみい」

綱手は、自分の身体が真暗な中の空間に引っかかって、手足を、もがいているような気がした。

「綱手、牧は、何処へ参ったであろうか、存ぜぬか」

「江戸へ参られました」