Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんぽうゆうしん

南方郵信

中村 地平

Lesen Sie 南方郵信 (なんぽうゆうしん) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.899 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

町外れの暗い檜林のなかに在る郷社へ参拝するためである。

湿気を含んだ冷たい川風に、紺絣の着物の裾をあおられ、三太は旦那に小さい体をひきずられるようにして歩いている。大きな眼玉をぎょろつかせながら、三太は父親にせわしく尋ねる。

「お父さんはなぜ、お母さんに乱暴ばするのかな」

だしぬけな質問に旦那はあわてる。しかし、すぐにそれが母親の指し金であることに気がついて眉をしかめる。

「お父さんの気に要らんことをするからさ」

「どうして気に要らんのかな」

「そんなことは子供にはわかりはせん」

「どうして子供にはわからんのかな」

「大人になったらわかることじゃ」

「どうして子供にはわからんで、大人になったらわかるのかな」

旦那は返事につまってしまう。

それから、初めて気がついたような顔をして、川しもの方を眺めて見る。茜の色に夕映えて美しい遠い、港あたりの上空を、旦那はステッキで指ざしながら、三太の心を奪うような威勢のいい声で言う。

「おい三太、二三日すると、入江に海竜丸が入ってくるから、お前も連れてってやるぞ」

船に行くと、船頭たちは海水で飯をたいて食べさしてくれる。それは塩っぽくて、お結びと同じようにうまいのである。