Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんぽうゆうしん

南方郵信

中村 地平

Lesen Sie 南方郵信 (なんぽうゆうしん) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.899 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

糸にかかるのは大抵ダグマ蝦である。ダグマ蝦というのは、親指ぐらいもある大きな体をしていて、強く逞しい鋏をもっている。

携えてきたバケツのなかに、ダグマ蝦を十匹も釣りあげると、爺さんはバケツの水をこぼす。そして、伝馬船から降りて、お浜の眼の前にさしだす。

「遣ろ。帰ち喰びい」

お浜は嬉しそうににやにやしながら、恥しさを知らないもののように、着物の裾をくるりとめくって、爺さんの眼の前にひろげる。その即席の風呂敷のなかに、爺さんはバケツの蝦を全部あけてやる。下腹のところにまるく蝦をつつみこむと、お浜は垢のたまった脛をちらつかせながら、前こごみに泳ぐような恰好で、息をはずませながら、自分の家へ帰ってゆく。

真夏になると、村いっぱいに植わっている椎や樟の葉がのびて、部落のところどころに涼しい、天然のテントを張ってくれる。しかし、樹の隙間を洩れて照りつける南国の陽は、猛烈に暑くて、到底、我慢ができない位である。

そういうある日、隣り町の登記所へ行った帰りに、旦那が木橋の上を歩いていると向うから馬力の六やんが荷馬車をひいてやってくるのに出遭った。六やんは旦那の家へも出入りしていて、時折り木炭を隣村に運ばして貰っているのである。