Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんぽうゆうしん

南方郵信

中村 地平

Lesen Sie 南方郵信 (なんぽうゆうしん) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.899 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

家へ帰るなり、旦那は外出着の絽の羽織を脱ぎもしないで、源吉爺さんを呼びつけた。

「お浜が妊娠している、というのはほんのこっけ」

お浜という言葉を聞くと、爺さんは顔いろを変えた。それから、齢甲斐もなく、臆病そうに震えはじめた。

「明日からお浜を家によせつけることはならんど」

爺さんは頷くと、例の不満の時の仕草で、両手で尻を叩きながら、広庭へ戻りかけていたが、又、旦那に呼びとめられた。

「馬力の六も出入りさしとめじゃ」

事件の少いこの村にとっては、お浜が妊娠している、という噂は大きなニュースであったが、このニュースに最も恐慌をきたしたのは、馬力の六やんをはじめ平素、遊び手として定評のある人たちであった。こういう人たちは平素は好色なゴシップに対して、わりに寛大な態度をみせるのが普通であるが、こんどだけは特別であった。相手が相手だけに、さすがにこういう人たちでも、痛くもない腹をさぐられるようなことになっては、心外である、と考えたのであった。

こういう人達は自分に疑いの眼がむけられる前に、いち早くそれとなく他人の名前を暗示して置いて、自分だけでも噂の圏内から逃げだそうと務めた。