Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たんどくこう

単独行

加藤 文太郎

Lesen Sie 単独行 (たんどくこう) von 加藤 文太郎 (かとうぶんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.799 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし杖は一本しかきかぬし、スキーにはシールがついていないので、階段登りしかできず、行程はなかなかはかどらない。もちろん疲労もはなはだしく、歩きながら居眠りをしていることが多かった。この頃からそろそろ錯覚を起し出したらしく、雪の色が黄色く見えてきた。また木に積っている雪がちょうど紙切や、旗や、提燈等に見え出した。そのとき僕はやっぱりこの辺にも木地屋が登ってきて、七夕祭のときに飾る竹のように木を飾っておいたのだろうと思った。そして近づいて行って杖でそれに触ってみて、初めて旗でも提燈でもないのに気がつくのだった。また歩いていても下半身は全然自分の身体のような気がしなかったし、肩を杖で打ってみてもかすかにしか感じなかった。それで僕はまださっきの雪の孔の中で眠っているか、もしくはその前に雪庇から落ちたようだが、あのまま倒れていて、今夢を見ているのではなかろうかとこう思って、声を限りにどなってみた。しかしその声はかすかに聞えるだけで、その夢を破ることはできなかった。

やがて二十二日の朝がやってきた。その頃はもう雪は止んでいたが、濃霧は相変らず風にあおられていた。