Japanische Klassiker mit Furigana
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こじょうのまひる
古城の真昼
野村 胡堂
Lesen Sie 古城の真昼 (こじょうのまひる) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.644 Zeichen · 28 Bildschirme
「待って下さい」
転げるように、藪蔭から出て来た一人の娘があります。お召らしい単衣、羽二重らしい帯、すべてそれは「らしい」という程度の粗末なものですが、咄嗟の間にも、身のこなしが紅雀のような敏捷で、容貌が白文鳥のように可愛らしい事がわかりました。
「アッ」
「みっちゃんじゃないか」
「どうしてこんな所へ」
異口同音とはこの事でしょう。神田の「無名倶楽部」が、このまま古城趾へ引っ越して来たような中へ倶楽部には無くてはならない美しい「みっちゃん」までが、降って湧いたように飛出したのですから、驚きやら不審やらの声が、十二人の口へ同時に爆発したのも無理はありません。
「待って下さいな、この謎は私が解かなければなりません、どなたも暫らく待って下さい」
みっちゃんはほんのりと上気せて、露にぬれた美玉のように匂う顔をふり仰ぎ乍ら、半ば嘆願するように一同を見渡しました。
「何うしたのだ、お前などの出る幕じゃあるまい」
筒井知丸。大事な話の腰を折られて、少しジレ加減にこう申しました。
「貴方は何んにも御存じないワ、……私が出たわけは……」
「馬鹿、帰れ帰れ、お前などの来る場所じゃない」