Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こじょうのまひる

古城の真昼

野村 胡堂

Lesen Sie 古城の真昼 (こじょうのまひる) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.644 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

口汚く罵るのは、御人体にも似げなく玉置子爵です。上品な青白い顔を緊張さして、こめかみのあたりが、ビリビリ虫が這うように動きます。

「私は玉置光子です、この城趾へ来て悪い筈はありません」

「玉置光子、玉置光子……? ?」

「解らなければ、もっと詳しく話しましょうか、私は先々代の子爵玉置義正の孫で、昨年この城趾で殺された、玉置春子の妹光子です」

「嘘だ嘘だ、そんな、そんな馬鹿な事があるわけは無い、お前は騙りだ」

子爵は漸く落付きを取り返して、冷たい瞳を娘の上に投げかけ乍ら、それでもややせき込んで罵り散らします。

「騙り? 騙りは貴方でしょう、先代の子爵だった父の照正は、長い間支那印度を放浪して亡くなりましたが、香港で同じ日本人の母と結婚して、姉と私を生んだのです。今では父も母も亡くなりましたが、結婚証明書も、死亡証明書も、何も彼も皆んな用意してここに持って居ります、よく調べもせずに、私を騙りとは失礼でしょう」

美しい小娘とばかり思った「みっちゃん」が、名門の跡取りであったのも予想外ですが、大の男を相手に、一寸の引けも取らぬシャンとした手強い応対振りには、居合わせた顔馴染の皆んなも舌を巻いて驚きました。