Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 吸血鬼 (きゅうけつき) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 190.554 Zeichen · 381 Bildschirme
そしてわら人形も、一寸法師の死骸も、この井戸の中へ投げ込まれた。
わら人形は小川正一である。とすれば、残る一人は、この唇のない奴は、お芝居の方の一寸法師に当る訳だ。あの小怪物が「唇のない男」の役を、如実に演じて見せたのである。
「すると、我々があんなに探し廻っていた犯人は、この邸の天井裏にかくれていたとおっしゃるのですか」
恒川氏は信じ切れぬ調子だ。
「で、こいつは、一体何者です。第一どういう訳で、場所もあろうに、この邸の天井裏なんかを、隠れ場所に選んだのです」
彼はむらがり起る数々の疑問に何からたずねてよいのか、判断もつかぬ有様だ。
「この男が、天井裏へ隠れていたのは、何も不思議なことではありません。誰しも、我が家は、殊に自分の書斎はなつかしいものですからね」
やみの中の明智が、事もなげに答える。
「我が家ですって? 自分の書斎ですって? というと、何だか、畑柳家が、こいつの邸みたいに聞えますが……」
警部は益々分らなくなった。
「そうですよ。この男こそ、この家のあるじなのですよ」
「エ、エ、何ですって?」
恒川氏の頓狂な叫び声。
「この唇のない男が、外ならぬ、倭文子さんの夫、畑柳庄蔵氏なのです」