Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のろいのダイヤモンド

呪の金剛石

野村 胡堂

Lesen Sie 呪の金剛石 (のろいのダイヤモンド) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.393 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「これがボイロフの泊って居た室で。……」

と言う亭主の声が聞えます。

この室もボイロフの居た室、美人を通した隣りの室もボイロフの居た室、いくら金儲の為でも、猶太鼻の持主だけに、することがズバ抜けて居ります。

が、それよりも驚いたのは、こんな汚い木賃宿に、特別上等の洋装美人が天降った事です。黒貂の外套を脱ぐと、目もさめるような葡萄鼠の洋装、絹靴下が暗示する、美しい肉体の線も、まだ決して盛りを過ぎた年ではありません。黒い帽子の下から見える、深い神秘的な眼ざし、白過ぎる皮膚の色も、何んとなく混血児ではないかと思わせる節がないではありませんが、全体の印象が何んとなく端麗で、宗教的な美しさを持って居るのも不思議です。

六

その晩、玉姫町の木賃宿の裏二階は、大掃除のような騒ぎでした。一方は私と「足の勇」、一方は得体の知れない洋装美人と、その従者らしい四十男、それが張り合う形ちで、銘々の部屋の詮索を始めたものです。最初のうちはお互に遠慮してコソコソやって居りましたが、長押も柱も袋戸棚も、隈なく見尽して了うとあとはどうしても畳を上げなければなりません。その頃になると、お互にもう遠慮が無くなって、四方構わず存分な大掃除がはじまります。