Japanische Klassiker mit Furigana
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かいそうろく
回想録
高村 光太郎
Lesen Sie 回想録 (かいそうろく) von 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.774 Zeichen · 71 Bildschirme
唖かと思って、母などは随分心配したらしい。医者は疳のせいだから、今に口が利けるから大丈夫だと言ったそうだが、或朝、頭中におできが出来た。昔の医者はそれが出る方がいいといって却って奨励したものだが、それがすっかり癒ったら急に口が利けるようになった。言語中枢に何か障碍があったらしいのである。それから後で僅かの間にすっかり喋るようになって、学校へ行く時分には差支えない位になっていた。
母はお説教などは何も言ったことはないが、ただ言葉遣いだけは非常に喧しく、何遍直されたか分らない。小学校へ行くようになって、他所の子供の言葉を憶えて来てうっかり言うと、斯ういう風に言うのだと直されて了う。今日では江戸の言葉は無くなって了ったから、何を基準にしていいか分らないが、昔ははっきりいい悪いということが言えた。祖父も矢張言葉遣いに喧しく、変なことを言うと、「何だ、そんな田舎者のような口を利いてみっともない。」と叱られた。言っていけない言葉の中には、思い上った言葉だの、不心得な言葉が多く、だから一方では良心についての訓戒でもある。言葉遣いがいいということは、内容がいいということでもある。