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Japanische Klassiker mit Furigana

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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme

Aozora Bunko

越されずに越すなんてわけにはとても俺、いきそうもない。

さて越されずに越されずと言うことになるとしたら、そのときいったいこの俺は――。

「いる? オイ今松さん」

だしぬけにガタリと建つけの悪いペンキ塗りの板戸を開けられて今松はびっくりした。

「私ですよ。桃輔」

貧相な小男が、細く尖った自分の鼻を指してニコニコと笑っていた。

桃太郎さんのところの前座だった。

「ああ、桃公。よく来たね」

人恋しさに今松、顔を崩して迎えた。

「さっそくですがね兄さん、儲け口」

座るなり桃輔は言った。

「エ」

思わずジリリと膝を進めて、

「どこの席だ」

「席じゃありません」

「旅か」

旅でもいい。

いや、旅のほうがいい、なまじこんな横浜辺りでトロトロしているよりも。

「旅でもないんです」

小さく桃輔は首を振った。

「へへー。お座敷か。尋常学校の余興かなにか」

「ちがうんです」

「なんだよいったい」

「それがねえ、なんでもあなたの言う目の出るって話でしてねえ」

ニヤリ耳もとへ口を寄せてくると、

「兄さん養子の口なんですよ」

四

よく考えてみておいてくださいと薄暗くなって桃輔の帰っていったあと今松は、いろいろととつおいつした。