Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
心から今松も頭を畳へ摺りつけるようにした。
「ときに桃輔、お前からも話してよう御存知じゃろうが、念のためにちょと私からも言っておこうの、あの……あのなあ」
少し酔いが回ってきたらしく、大きなドス黒い舌でペロリと唇をなめ廻して、
「お前。あの、家へきてくれたらのう。向こう一年問は、日曜の他は外出まかりなりませんぞ。朝から晩までズーッとこの家の中にいてくれねば……」
「…………」
いささか当の外れた気がした。
一年間、日曜のほかに外出できずでは、落語家として向こう一年間の出演もまた当然思いあきらめなけりゃならない。
第一、向こう一年、日曜のほか外出ができないなんて、まるで兵隊に行ったみたいだ。
が――これも、要は今まで不幸せだった娘不びんとの親心からだろう。
柄になくこの御隠居、娘思いなんだな。
やっぱり親は子を思い、子は親を思い、そこに親子自然の恩愛はあるのか。
ジーンと熱いものが、今松は胸先へこみ上げてきた。
まあ、いい。
じゃ一年間は、自分一人で、勝手に落語を研究していよう。
そうしてうんと腕を磨いておいて二年目から、華々しく出発しよう。
それがいい。