Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
昼ながら滅法薄暗い表口には、「しる」とたいそう長く大きく引っ張った朱文字の細長い大提灯が、しきりに秋風に吹かれていた。
夜更けて湯帰りのお店者や堀江新町あたりの素見帰りが好んで立ち寄るここの店では、美味しい美味しい白味噌汁へ、注文次第で烏賊でも蛸でも鱧でもを投り込んで食べさせてくれる。
酒がまたごくいい。
思えば、この海老ちゃんとでもよくここの店へ来たもんだっけ。
そうしてその時分の海老やんは、決して今日のような死にかけの海老の腐り海老ではなかったっけが――。
また新しい悲しさ腹立たしさに全身を煮え返らせながら、グビグビグビと今松は湯呑の酒を咽喉へ流し込んだ。
「なあ今はん。ほんまに俺、情ないことやけれどな、紅梅派の親爺さんには、こののちもっともっとお世辞言わんならん思うてるね」
「…………」
「そこらの幇間かて敵わんぐらい、せいらい、お世辞つかわんならん思うてんね」
「…………」
「俺はまだ若い、真打でもない、そら多少の気概はあるやろけれど、たかが甲斐性のない二つ目や」
「オイ……」
「いままでのような酒ばかり飲んで太平楽はきめていられん。俺は悟った。七重の膝を八重に折ってでも」