Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
それを見つけた月番のひとりが、あの夫婦の着てる物は地味なくせに気のきいた本寸法のものばかりだ、たいしたもンだなアと感心したのち、ところで俺たち二人の着物はいったいいくらくらいの値打物だろうナと訊く。すると、もうひとりの月番が、「そうよなァ、まず二人でたかだか十二銭ぐらいのものだろう」とガッカリする。
だが、そうしゃべっている圓太郎師匠その人があまりにもこの長屋の住人らしく、ほんとに十二銭ぐらいな汚な着物の汚な手拭、汚な扇子ときているから、気の毒みたいに真に迫っていよいよお客はおかしがらずにはいられなかった。
……やがて花の山へかかってきた。番茶の酒盛――“お茶か盛”がはじまったい。発案者たる大家さんはひとりで気分を出して悦に入るが、長屋の衆はアルコール分がないから滅入るばかりだ。第一、ダブダブの茶腹には、春の日の風が冷たかった。ますます御恐悦の大家さんは一句詠めとおっしゃるけれど、ダ、誰がおかしくって。それでもやっとこさ誰かの一句詠んだのが、「長屋中、歯をくいしばる花見かな」。
ウヘッ、これじゃア詠まないほうがいい。そのなんともいえない馬鹿馬鹿しいなかに江戸っ子らしいやせ我慢なところが無類で、ここも圓太郎は上出来だった。