Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
もう、これで――今度こそ誰かやってきてくれるだろう。そうしたらあとは真打の左龍さんまで、ヌキなしでトントンといく。どうか、どうか神様、皆が休まずきてくれますように。
にもかかわらず、また一人きて、また二人ヌキ。
万事休すなり。
ほんとうにもう心から底から、オイオイ泣きたくなってしまった。いや、涙こそこぼさないが、顔中、大泣きに泣いていたろう、今松。
泣きべそで第七回目の「行安」をしゃべりに上がった。さぞや聴くほうも辛かろうが、演るほうも並や大抵じゃ――。
「御苦労だったな、若えの。サ、祝儀だ」
見兼ねたのだろう。大べそで今松が高座から下りてくると、宵から正面桟敷にいた痩せぎすの刺っ子を着た侠な頭がガラリ楽屋の板戸を開けて入ってきて、二十銭銀貨一枚くれた。
……でも、ほんとに今考えても、ゾーッとする。
いくら大雪の晩とはいえ、よくもお客様がおとなしく聴いていてくれた。
よせよせとも言わなければ、蜜柑の皮や下足札や座蒲団を投りつけられることもなく、かえって二十銭銀貨一枚いただけたなんて。
……言ってみればその晩のことが、しみじみ、つくづくと骨身にしみて、今松、いけない、こんなことでは、「波平行安」