Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
「ヘエ」
いきなり、許嫁の前かなにかへ出たように浅黒い顔をボーッと染めて今松は、ピョコリとお辞儀をした。黙ってもうひとつ、お辞儀をした。
「やるんだよ早く」
気短そうに、助六は銀煙管で、ポンと円火鉢のへりを叩いた。
「ヘ、ヘエ、ただいま」
もう一ぺん小さくお辞儀をして、もうチャンと座っているものを、さらに座り直すようにした。
「寿限無」
あの、子供に長い長い名前をつけてもらって困る噺。
そのほんの一部を、今松は一昨日、師匠から聴かせてもらったところだった。
今日はそれを、師匠の前で丸ごかしにしゃべらなければならない。
「……エー……エー……」
二度ばかり言ってから、
「エー、かくばかり偽り多き世のなかに、子のかわいさは誠なりけり、親御さんのお子供衆をおかわいがりになる味はまた別でございまして……」
しゃべりながら今松は、自分の声がふるえていることを感じた。
調子もよくない。
それには「子供衆をおかわいがりになる味はまた別で」なんて言うけれど、この自分は孤児で、親はほんとうに子がかわいいのかどうか、実のところはまだそのへんもたいへんに疑っている。その俺が白々とこんなことをしゃべったところで、どうして巧い調子で言えるものか。