Japanische Klassiker mit Furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Lesen Sie 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.226 Zeichen · 295 Bildschirme
お弟子さんでしたか」
今松は目を丸くした。おお、やっと思い出した。誰かに似ていると思っていたら、この先生の声、怨み重なる熱海の講釈師の声とそっくりだったんだっけ。弟子と師匠じゃ似ているわけだ。
「ちがうちがう、弟子じゃない」
あわてて伯水は銚子を取り上げた手を振った。
「余計似てるわけだ。お身内ですか」
今松はまた言った。
「ちがうよ」
叱りつけるように声高に
「ちがうと言えば。弟子でも身内でもない。真々館にいた講釈師てのは、お手前の前じゃが、このわしじゃよ、伯水じゃよ」
「エーッ先生」
思わずまた目を丸くしかけたが、すぐ気がついて、
「冗、冗談……。先生、そ、そんな担ぎっこなしにしましょう。アア、びっくりした。ほんとかと思って私ア寿命の十年も縮めましたぜ」
「コ、これはまた、異なことを。お手前を担いでどうなろう。酒興でもない、座興でもない、正真正銘、この伯水が、熱海真々館の講釈師であったと申すに」
「だって……だって先生そんな」
「なにが、だってだ」
「なにがだって、だって先生、私アその先生に兜をぬいで夜逃げしてきたんだ。その先生のほうは今時分、さしずめ日本勝ったい露西亜負けたい、真々館の大広間で提灯行列でもやらかしてる時分で。