Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かべのめのかい

壁の眼の怪

江見 水蔭

Lesen Sie 壁の眼の怪 (かべのめのかい) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.253 Zeichen · 15 Bildschirme

Aozora Bunko

びっくりして飛上った。

蛇は忽ち鎌首を擡げて、直芳を咬むべく向って来た。それを急いで矢立で打った。

それにも挫まず又向って来た。已むを得ず脇差を抜いて切った。はずみで蛇の首は飛んで社前の鈴の手綱の端に当った。すると執念にもそれに咬み付いたまま、首だけで生きているのか、ビクビク暫くは動き止まなかった。風もないのに鈴が鳴るのは、その為であった。

「誰かが投付けたのでは有るまいか」

蛇が空から降りようはないので、直芳は心着いて、青萱の中に眼を配った。そこの一部が少しく動揺するのを認めて、さてはかしこに隠れたる曲者の仕業と、脇差で青萱を斬り斬り進んだ。果してそこに人が潜んでいた。逃げ出しかけたのを引っ捕えんとして、びっくりせずにはいられなかった。それこそ浴泉の美女なのであった。

「何ゆえ人に毒蛇を投げた。次第に依っては用捨はないぞ」

「おゆるされえ」

娘は泣き入った。青萱の中に身を投げ出して身を震わせた。

「ゆるすも、何もない。何ゆえ拙者へ毒蛇を投げつけたか」

直芳は問いつめた。

「毒蛇を投げたのは貴郎を殺したい為で御座んした」

「えッ」

四

突然毒蛇を投げて人殺しを企てた三面の娘の心は、容易に旅画師には解けなかった。