Japanische Klassiker mit Furigana
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なつのはな
夏の花・心願の国
原 民喜
Lesen Sie 夏の花・心願の国 (なつのはな) von 原 民喜 (はらたみき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 152.816 Zeichen · 310 Bildschirme
倉敷駅の改札口を出ると、小さな犬を抱えている女の児が目についた。と、その女の児は黙って彼にお辞儀した。暫く見なかった間に小さな姪はどこか子供の頃の妹の顔つきと似てきた。
「お母さんは今ちょっと出かけていますから」と、小さな姪は勝手口から上って、玄関の戸を内から開けてくれた。その座敷の机の上には黄色い箱の外国煙草が置いてあった。
「どうぞ、お吸いなさい」と姪はマッチを持ってくると、これで役目をはたしたように外に出て行った。彼は壁際によって、そこの窓を開けてみた。窓のすぐ下に花畑があって、スミレ、雛菊、チューリップなどが咲き揃っていた。色彩の渦にしばらく見とれていると、表から妹が戻って来た。すると小さな姪は母親の側にやって来て、ぺったり坐っていた。大きい方の姪はまだ戻って来なかったが、彼が土産の品を取出すと、「まあ、こんなものを買うとき、やっぱし、あなたも娯しいのでしょう」と妹は手にとって笑った。
「とてもいいところから貰えて、みんな満足のようでした」
先日の甥の結婚式の模様を妹はこまごまと話しだした。
「式のとき、あなたの噂も出ましたよ。あれはもう東京で、ちゃんといいひとがあるらしい、とみんなそう云っていました」