Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なつむしあんどん

夏虫行燈

吉川 英治

Lesen Sie 夏虫行燈 (なつむしあんどん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.200 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

北斗の顫き

一

こう二人は、当然、討手の誰よりも真っ先に向わなければ、一分が立たない立場にある。

城下端れから、荒川に添って、山地へ向いながら小一里も行くと、右側の小高い所に、一宇の寺が見える。

まだ、明け方には、間があったが、水明り星明りに、何処となく仄青い明るさのある道だった。

北斗の顫き

一

――それよりは、やや先に。

お小夜を突き放して、住み馴れた甲府の深夜も、惜気もなく捨てて馳けた高安平四郎は、真っ暗な光沢寺の山門を風のように潜っていた。

庫裡へ廻って、

『起きろ。起きろ』

ほとほととそこの戸を揺すぶる。

寝ぼけ眼の納所僧が、

『どなたで?』

と、見上げた。

『江戸の者だが――』無造作に云って、

『泊っているだろう?』

と、訊ねた。

皆まで訊かずに、

『あ……御浪人方のお連れで』

『そうだ』

『どうぞ……』

すぐ、蝋燭をつけかける手を制して、

『坊主』

『はい』

『この光沢寺は、一蓮寺の別院だな』

『左様で――』

『一蓮寺は、御勤番加役、甲府在住の宮崎若狭守どのの菩提寺だな』

『仰っしゃる通りでございます』

『――すると、この光沢寺と、宮崎家との縁故も、だいぶ浅くないな』

『はい。何かにつけ、お世話になっておりまする』