Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
神奈川には奉行組頭もある、そういう役人の家よりもわざわざ牡丹屋のような古い旅籠屋を選んで微行で瑞見のやって来たことが寛斎をよろこばせた。あって見ると、思いのほか、年も若い。三十二、三ぐらいにしか見えない。
「きょうのお客さまは名高い人ですが、お目にかかって見ると、まだお若いかたのようですね。」
と牡丹屋の亭主が寛斎の袖を引いて言ったくらいだ。
翌日は寛斎と牡丹屋の亭主とが先に立って、江戸から来た三人をまず神奈川台へ案内し、黒い館門の木戸を通って、横浜道へ向かった。番所のあるところから野毛山の下へ出るには、内浦に沿うて岸を一回りせねばならぬ。程ヶ谷からの道がそこへ続いて来ている。野毛には奉行の屋敷があり、越前の陣屋もある。そこから野毛橋を渡り、土手通りを過ぎて、仮の吉田橋から関内にはいった。
「横浜もさびしいところですね。」
「わたしの来た時分には、これよりもっとさびしいところでした。」
瑞見と寛斎とは歩きながら、こんな言葉をかわして、高札場の立つあたりから枯れがれな太田新田の間の新道を進んだ。
瑞見は遠く蝦夷の方で採薬、薬園、病院、疏水、養蚕等の施設を早く目論んでいる時で、函館の新開地にこの横浜を思い比べ、牡丹屋の亭主を顧みてはいろいろと土地の様子をきいた。