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Japanische Klassiker mit Furigana

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よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme

Aozora Bunko

その時、お民は兄の方を見て言った。

「兄さんは弓にばかり凝ってるッて、おばあさんがコボしていますよ。」

「おばあさんじゃないんだろう。お前たちがそんなことを言っているんだろう。おれもどうかしていると見えて、きょうの矢は一本も当たらない。そう言えば、半蔵さんは弓でも始めないかなあ。」

「吾夫じゃ暇さえあれば本を読んだり、お弟子を教えたりしですよ、男のかたもいろいろですねえ。兄さんは私たちの帯の世話までお焼きなさる方でしょう。吾夫と来たら、わたしが何を着ていたって、知りゃしません。」

「半蔵さんはそういう人らしい。」

割合に無口なお里は織りかけた田舎縞の糸をしらべながら、この兄妹の話に耳を傾けていた。お民は思い出したように、

「どれ、姉さん、わたしにもすこし織らせて。この機を見ると、わたしは娘の時分が恋しくてなりませんよ。」

「でも、お民さんはそんなことをしていいんですか。」

とお里に言われて、お民は思わず顔を紅らめた。とかく多病で子供のないのをさみしそうにしているお里に比べると、お民の方は肥って、若い母親らしい肉づきを見せている。

「兄さんには、おわかりでしょう。