Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
過去の皇室の衰え方と言えば、諸国に荒廃した山陵を歴訪して勤王の志を起こしたという蒲生君平や、京都のさびしい御所を拝して哭いたという高山彦九郎のような人物のあらわれて来たのでもわかる。応仁乱後の京都は乱前よりも一層さびれ、公家の生活は苦しくなり、すこし大げさかもしれないが三条の大橋から御所の燈火が見えた時代もあったと言わるるほどである。これほどの皇室が、また回復の機運に向かって来たことは、半蔵にとって、実に意味深きことであった。
時代は混沌として来た。彦根と水戸とが互いに傷ついてからは、薩州のような雄藩の擡頭となった。関ヶ原の敗戦以来、隠忍に隠忍を続けて来た長州藩がこの形勢を黙ってみているはずもない。しかしそれらの雄藩でも、京都にある帝を中心に仰ぎ奉ることなしに、人の心を収めることはできない。天朝の威をも畏れず、各藩の意見のためにも動かされず、断然として外国に通商を許したというあの井伊大老ですら、幕府の一存を楯にして単独な行動に出ることはできなかった。後には上奏の手続きを執った。井伊大老ですらそのとおりだ。薩長二藩の有志らはいずれも争って京都に入り、あるいは藩主の密書を致したり、あるいは御剣を奉献したりした。