Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
塩辛い声を振り揚げる髪結い直次の音頭取りで、鄙びた合唱がまたそのあとに続いた。
袷ナ
なかのりさん、
袷やりたや
なんちゃらほい、
足袋添えて。
よい、よい、よい。
本陣とは言っても、吉左衛門の家の生活は質素で、芋焼餅なぞを冬の朝の代用食とした。祝言のあった六日目の朝には、もはや客振舞の取り込みも静まり、一日がかりのあと片づけも済み、出入りの百姓たちもそれぞれ引き取って行ったあとなので、おまんは炉ばたにいて家の人たちの好きな芋焼餅を焼いた。
店座敷に休んだ半蔵もお民もまだ起き出さなかった。
「いつも早起きの若旦那が、この二、三日はめずらしい。」
そんな声が二人の下女の働いている勝手口の方から聞こえて来る。しかしおまんは奉公人の言うことなぞに頓着しないで、ゆっくり若い者を眠らせようとした。そこへおふき婆さんが新夫婦の様子を見に屋外からはいって来た。
「姉さま。」
「あい、おふきか。」
おふきは炉ばたにいるおまんを見て入り口の土間のところに立ったまま声をかけた。
「姉さま。おれはけさ早く起きて、山の芋を掘りに行って来た。大旦那も半蔵さまもお好きだで、こんなものをさげて来た。