Japanische Klassiker mit Furigana
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
Lesen Sie 夜明け前 (よあけまえ) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.629 Zeichen · 408 Bildschirme
どうして檜木一本でもばかにならない。陣屋の役人の目には、どうかすると人間の生命よりも重かった。
「昔はこの木曾山の木一本伐ると、首一つなかったものだぞ。」
陣屋の役人の威し文句だ。
この役人が吟味のために村へはいり込むといううわさでも伝わると、猪や鹿どころの騒ぎでなかった。あわてて不用の材木を焼き捨てるものがある。囲って置いた檜板を他へ移すものがある。多分の木を盗んで置いて、板にへいだり、売りさばいたりした村の人などはことに狼狽する。背伐りの吟味と言えば、村じゅう家探しの評判が立つほど厳重をきわめたものだ。
目証の弥平はもう長いこと村に滞在して、幕府時代の卑い「おかっぴき」の役目をつとめていた。弥平の案内で、福島の役所からの役人を迎えた日のことは、一生忘れられない出来事の一つとして、まだ吉左衛門の記憶には新しくてある。その吟味は本陣の家の門内で行なわれた。のみならず、そんなにたくさんな怪我人を出したことも、村の歴史としてかつて聞かなかったことだ。前庭の上段には、福島から来た役人の年寄、用人、書役などが居並んで、そのわきには足軽が四人も控えた。それから村じゅうのものが呼び出された。