Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとじ・しなのじ

大和路・信濃路

堀 辰雄

Lesen Sie 大和路・信濃路 (やまとじ・しなのじ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.165 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

主 そういった君の日々が、そのままで君の小説になるのではないか。

客 いや、もうそういう苦しまぎれのような仕事はこんどだけはしたくない。もっと、こう大どかな仕事ぶりをしてみたいんだ。だが、僕みたいなものには難しいことらしいな。――あれは、おととしの秋だったかな、ともかくもまあ小手しらべにと、何か小品を、ちょうど古代の人々がふいとした思いつきで埴輪をつくりあげたような気もちで、書いてやろうとおもって、古代の研究がてら、大和にやってきて、毎日寺々を見て歩いているうちに、なんだか日にまし気もちが重くるしくなって、とうとう或る夕方、もうその仕事をどう云ってやってことわろうかと考えるため散歩にいった高畑のあたりの築土のくずれが妙にそのときの自分の気もちにぴったりして、それから急に思いついて「曠野」という中世風なものがなしい物語を書いた。

主 あの小説は読んだよ。大和までわざわざ仕事をしにきて、毎日お寺まわりしながら、やっぱり、ああいうものを書いているなんて、いかにも君らしいとおもったよ。

客 あれは、いまおもえば、僕のさびしい詮めだった。それが何処かで、あの物語の女のさびしい気もちと触れあっていたのだな……