Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとじ・しなのじ

大和路・信濃路

堀 辰雄

Lesen Sie 大和路・信濃路 (やまとじ・しなのじ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.165 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

が、昼間あれだけ気もちよげに歩いてくるせいか、よく眠れるので、愛想がつきる位だ。――

けさはすこし寝坊をして八時起床。しかし、お昼もきょうはホテルでして、一日じゅう新らしいものに取りかかっていた。――こないだ折口博士の論文のなかでもって綺麗だなあとおもった葛の葉という狐の話。あれをよんでから、もっといろんな狐の話をよみたくなって、霊異記や今昔物語などを捜して買ってきてあったが、けさ起きしなにその本を手にとってみているうちに、そんな狐の話ではないが、そのなかの或る物語がふいと僕の目にとまった。

それは一人のふしあわせな女の物語。――自分を与え与えしているうちにいつしか自分を神にしていたようなクロオデル好みの聖女とは反対に、自分を与えれば与えるほどいよいよはかない境涯に堕ちてゆかなければならなかった一人の女の、世にもさみしい身の上話。――そういう物語の女を見いだすと、僕はなんだか急に身のしまるような気もちになった。これならば幸先きがよい。そういう中世のなんでもない女を描くのなら、僕も無理に背のびをしなくともいいだろう。こんやもう一晩、この物語をとっくりと考えてみる。