Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとじ・しなのじ
大和路・信濃路
堀 辰雄
Lesen Sie 大和路・信濃路 (やまとじ・しなのじ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.165 Zeichen · 115 Bildschirme
ただ遠くから見た目に何んとなくそう見えるだけのものらしい。が、そんな少しばかり雪の残った草原のまんなかに立って見ると、あちこちに一本ずつ離れ離れに立っている樺の木なんぞが、その変に枝をねじらせている工合までも、何かなつかしく思われてくる。
「こういう高原の木は、どこか孤独の相のようなものを帯びているね。」僕はふとM君にそう言ってみたが、それだけではまだなんだか言い足りないような気がした。
それから僕たちはその儘、その草原の雪のうえを歩いてみていたが、なかなか道がはかどらない。そこで、またさっきの街道のほうへ出ることにした。
みると、こんどはその街道をやはり板橋のほうへ向かって、一匹の牝山羊をつれた女が、こう、すこし首をうなだれるようにして歩いてゆく。まだ若い女らしい。
冬の真昼、ときどきまぶしく光つている雪原、風のために枝のねじれた樹木、それらのすべてを取り囲んでいる雪の山々、――そういう自然の中からひとりでに生れてきたようなその羊飼いの女。……
「まるでセガンティニの女みたいだね。」僕はおもわず小さく叫んだ。「あの首のうなだれ方までそっくりだな。」