Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やまとじ・しなのじ
大和路・信濃路
堀 辰雄
Lesen Sie 大和路・信濃路 (やまとじ・しなのじ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.165 Zeichen · 115 Bildschirme
そうして信濃境にさしかかる頃には、おあつらえむきに雨もすっかり上がり、富士見あたりの一帯の枯原も、雨後のせいか、何かいきいきと蘇ったような色さえ帯びて車窓を過ぎた。そのうちにこんどは、彼方に、木曾のまっしろな山々がくっきりと見え出してきた。……
その晩、その木曾福島の宿に泊って、明けがた目をさまして見ると、おもいがけない吹雪だった。
「とんだものがふり出しました……」宿の女中が火を運んできながら、気の毒そうにいうのだった。「このごろ、どうも癖になってしまって困ります。」
だが、雪はいっこう苦にならない。で、けさもけさで、そんな雪の中を衝いて、僕たちは宿を立ってきたのである。……
いま、僕たちの乗った汽車の走っている、この木曾の谷の向うには、すっかり春めいた、明かるい空がひろがっているか、それとも、うっとうしいような雨空か、僕はときどきそれが気になりでもするように、窓に顔をくっつけるようにしながら、谷の上方を見あげてみたが、山々にさえぎられた狭い空じゅう、どこからともなく飛んできてはさかんに舞い狂っている無数の雪のほかにはなんにも見えない。そんな雪の狂舞のなかを、さっきからときおり出しぬけにぱあっと薄日がさして来だしているのである。