Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜんのどくりつ
大岡越前の独立
直木 三十五
Lesen Sie 大岡越前の独立 (おおおかえちぜんのどくりつ) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.968 Zeichen · 24 Bildschirme
るが――」
「して、その――証拠は?」
「ただ一つ。宝沢殿の御冠りなされた菅笠、只今これへ持参致させまする」
女中が、酒肴を運んできた。
「まず、一献」
「いや、その儀は、取調べ確定の上にて」
と、三五郎は、強硬な口調でいった。郡奉行は、手を叩いて、下役を呼ぶと
「一件の菅笠をもて」
と命じた。土蔵へ仕舞ってあった菅笠が二人の前へ置かれた。古びた、雨うたしになった、微かに、宝沢同行二人と読める、所々裂け目のついた菅笠であった。
「なるほど」
と、三五郎は、障子の方へ笠をやって、じっと眺めながら
「血で御座ろうな」
「左様、無残にも、頭から、ばっさり浴びせかけたと見えまする」
「御下役を一人、その辻堂まで、拝借を御願い致したい」
「かしこまりまして御座る。三里と申しても四里近く御座ろうが。道は左程でも――」
と、手を叩くと、案内を申しつけた。
三五郎は、それから、庄屋を、村方を、感応院を調べた。人々は宝沢という可愛い子供がいたが、いつの間にかいなくなった。多分殺されたらしく、今の天一坊は、贋者だ、多分宝沢を殺して、御墨附と、短刀とを奪取って、図々しく、御落胤と称しているのだろうと、噂した。