Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜんのどくりつ
大岡越前の独立
直木 三十五
Lesen Sie 大岡越前の独立 (おおおかえちぜんのどくりつ) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.968 Zeichen · 24 Bildschirme
二
到着の上にて――」
「それはそうじゃが、今申した事を忘れぬように――到着致したなら、すぐ召捕っての」
「とくと勘考致しまする」
越前守が
(とくと、勘考致しまする)
と、いったなら、その上、誰が、何うそれ以上の奥をいわせようとしても、いうものではなかった。越前守は、一人の勘定方を撰択する時に
「百を二つに割ると、いくらだ」
と、聞いた。五十――明かすぎる五十であるが、その人は、算盤をもってきて、百と置き、二と置いて、一々弾いてから
「五十で御座ります」
と、答えた。越前、微笑して
「よろしい、勘定方は、そこまで、念を入れなければいけない。よろしい」
と、称めたが、その念入りの越前守が
「とくと、勘考致します」
と、二度までいったから、信祝は
「頼む」
と、いって、余談に移った。
二
低い灰空だ――雪になるか? 雨になるか? 沁々と冷たさの沁む黄昏だ。信祝は、蒔絵した黒漆の大火鉢へかけた金網の上へ、背中を丸めながら、唇を歪めたり、眼を閉じたり――それから咳をしたり――咳は、寂莫とした小書院一杯に反響して、けたたましかった。
「阪井右京、只今、立戻りまして御座りますが――」