Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜんのどくりつ
大岡越前の独立
直木 三十五
Lesen Sie 大岡越前の独立 (おおおかえちぜんのどくりつ) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.968 Zeichen · 24 Bildschirme
信祝は、茶碗の蓋を置くと、熱い茶を口許までもって行って
「偽者と明かになれば、申し分は無い。万一御落胤ときまった折には――何と申すか」
一口茶を啜ると
「大義親を滅すとでもいうか、徳川家のために、仮令、本物であろうとも、贋者として処置しなければならぬ」
信祝は、茶を下へ置いて、朱塗火鉢を撫でながら
「その訳は――下世話にいう、氏より育ち、二十を越すまで、素性卑しく育った者を、この城中へ入れることは、いろいろと弊がある。二つには、この周囲には、浪人者の不逞な徒輩がいるらしい。この者の処分に万一口出しでもあって、そのままに附けておくと成ると、患いの種を蒔くことになる。御当家万代のためには、忠直、忠長、忠輝と、いろいろの例もあり、この事は、お上も、よろしく取計らうようとの御言葉もあり、よし、本物であろうとも、贋者として、越前――処分してもらいたい、何うじゃな」
越前守は、俯いたままであった。
「不和、不穏の基に相成るから、不憫であっても、厳重に処置する方策をもって臨んでもらい度い――と、いう相談じゃ」
「よく判りました」
と、越前守は、顔を上げた。
「とくと、勘考仕りますが、府内へ到着するまでには、未だ未だ余日もあること。