Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜんのどくりつ

大岡越前の独立

直木 三十五

Lesen Sie 大岡越前の独立 (おおおかえちぜんのどくりつ) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.968 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

「ははは。御老人は?」

と、じっと瞳をみた。越前に軽くこういわれて、瞳をみられると、帯刀は、看破しているのかな、とさえ考えて、軽く狼狽したが、

「足下の判断に間違いはあるまいが――」

「いかにも、笠の真偽でなく、判断の当、不当」

「と、申すと?」

「笠は、誰かの悪戯かも知れませぬが――」

と、いって越前は俯いた。

「越前が、紀州を調べ、証拠品を押えて戻り、贋者と断じて、処分したとなれば、よし天一坊が、真正の御落胤であろうとも、人民の心には揺ぎがまいりませぬ。信祝殿は、当代の発明者にて御座りまするが、拙者の如く、尽すべき事を尽して後に処断するのでなく、ただ大局論として、奉行所の職分を無視して居られる如く心得られまする。調べるべきを調べ、求むべきを求めて後の処刑ならば、よし、後日あの菅笠が、信祝殿の御指図によって、造られたものと判りましたにせよ、越前が、うまく一杯かかっただけにて、その不明な点に責任はあろうとも、人心はそこまで調べた奉行所へは、矢張り信頼をもちまする。調べもせず、つまり、奉行所がありながら、その職務を、御上の都合にて、如何ようにも左右されると、庶民に思い込ませるよりは、越前も失策した、然し、よく調べはしたと、庶民に思われる方が、司政者としては、政に忠なるものと、心得まする、天一坊を嗣子とすることの人心