Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜんのどくりつ
大岡越前の独立
直木 三十五
Lesen Sie 大岡越前の独立 (おおおかえちぜんのどくりつ) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.968 Zeichen · 24 Bildschirme
「便室へ」
と、奥坊主にいって、立ち上りながら、稲葉佐渡守へ
「頑固者じゃのう」
と、微笑すると、両手を突出し、腰を張って、延びをしながら
「何うれ」
といって、廊下へ出た。うんげん縁の畳敷で、天井の高い広廊下は、凍った風で寒かった。信祝は、急ぎ足に、一つ角を曲ると
「御待ちで御座ります」
と、薄暗い廊下に、坊主がうずくまって、平伏していた。信祝は、狩野正信の宝船の茶がけのかかっている床の間を背に
「存外、早かったのう」
と、坐った。
「取調べて参りました」
「ふむ、そして?」
「正しく、御落胤に相違御座りませぬ」
信祝は黙って、越前守の襟元へ眼をやっていた。
「御墨附、御短刀とも、正真の上は、御落胤と認めるより外に、御座りませぬ。しかし、紀州においての取調べによって、如何に相成りまするか! 早速人を遣わす所存で御座りますが、生国、生地において、御落胤で無いという証拠の挙らぬ限り、偽者として処置致すことは、越前の役儀の表として、出来兼ねまする」
「しかし――」
と、信祝は、おっかぶせて
「先ごろ申した通り大の虫を殺して、小の虫を生かす諺だのう。あの附人の中には山内伊賀亮などと申す、中々の強か者がいるとの事だが――」