Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

笑いも、こうなるとうめきよりも渋濁である。

「死にてえ、死にてえ」

と、仏頂寺弥助が捲舌をつかい出す。

「くたばりゃがれ!」

と、丸山勇仙が悪態をつき出す。

「そうれ」

と仏頂寺が、最後の一杯、いな、一滴と見えるのを、深く腸の底まで送り込んで、その盃を勇仙めがけて投げつける。勇仙がそれを受けて、手酌で一杯ひっかけようとしたが、もう酒が尽きた。

「丸山――おれは死ぬぞ、どう考えても生きる口実を見失ったから、これから本当に死んで見せるのだ、検視をつとめさっしゃい」

と言って仏頂寺弥助は、着ていた羽織を脱ぎにかかりました。

「本当に死ぬのか」

「うむ――見ていさっしゃい」

「冗談じゃなかろうな」

「冗談から駒の出ることもある、いのじヶ原の時だってそうだ」

「今は、どうするつもりだ」

「どうもこうもありゃせん、お前は、ただ黙って最期を見届けていさえすりゃいいんだ」

「仏頂寺、いやに真剣だな」

「真剣だとも」

羽織を脱ぎ終った仏頂寺弥助は、それを草原の上に敷いて、その上に、草鞋をぬいでどっかと座を占めたものです。

「仏頂寺、変な真似をするなよ」

丸山がようやくあわてだしたが、仏頂寺弥助はそれに取合わないで、その次の仕事が内ぶところへ両手を入れ、おもむろに諸肌を脱いでしまったところです。