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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

それをどうです、大勢の前でスパスパとやられて一言もなく恐れ入っちまうなんぞは、人徳というものは大したものですな」

「心の出来た人ほど怖ろしいのはござんせん。あれでお前さん、上人様は御自分では跣足乞食と同じ身分だとおっしゃって、ほんとうに乞食同様な暮らしをしておいでなさるんだが、将軍様であろうとも公卿さまであろうとも、私共と附合うのと同じようにしておいでなさる、ああなると貴賤貧富がみんな同じことにお見えなさるんだね」

「さあ参りましょう。私共なぞもお札がいただけるかいただけないか、とにかく正のままをお目にかけてお願い致してみましょうでございます」

隠居さんのようなのが一人立ちかけて、ふと懐中へ手を入れてみましたが、

「おや」

「どうかなさいましたか」

「たしかに持って参った懐中物が」

「お懐中物が? それはそれは」

「おやおや、私も大事な紙入が……」

「あなたも?」

「あれ、わたくしの簪がどこぞに落ちておりは致しませんでしょうか」

がんりきの周囲で、あちらにもこちらにも紛失物の声がありましたので、四辺がにわかに物騒になります。

坐っていたものまでが総立ちで騒ぐと、事がいよいよ穏かでなくなって、おたがいの眼つきになんとなく疑いの色がかかるから、皆々いやな気持がしてしまいました。