Japanische Klassiker mit Furigana
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てんさいけいまい
天才兄妹
野村 胡堂
Lesen Sie 天才兄妹 (てんさいけいまい) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.891 Zeichen · 20 Bildschirme
五
宝石よりも貴い涙が、尚おもその頬を、際限もなく濡らして居ります。
五
この時――
「立花さん、すみませんでした――」
あわただしく楽屋へ飛込んで来たのは、昨夜汽車の中で一緒になった外人、フランツ・ベーカーです。
「勘弁して下さい、私は、国の為に、あなたに飛んだ御迷惑をかけました」
「…………」
誰も返事をする人はありませんが、ベーカーは、早くも香椎六郎の前に、むき出しに並べた十顆のダイヤ、燦として星の如く輝くのを見て、
「おお、気が付きましたか、ヴァイオリンの中から出したのですね」
万事呑込んだ様子で、かき集めもし兼ねない風です、香椎六郎は驚いてそれを止め乍ら
「お待ち下さい、それは一体どうした事なのです、このダイヤは貴方のものだとでも仰しゃるのですか」
「え、私の、それに相違ありません。私のダイヤと言うよりは、私の国のダイヤと言った方がいいかもわかりません。御不審もあるようですから、詳しくお話しましょう――」
ベーカーの話というのは、大変入り組んで居りましたが、簡単に書くと、斯うなります。
ベーカーの故郷というのは、中央欧羅巴の小さい小さい国ですが、さる強国の保護国になって居るので、今度完全に独立をさして貰うように、その事を国際連盟という、世界の平和の為に出来て居る会議へ持ち出すことになったのです。