Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.713 Zeichen · 28 Bildschirme
初秋の夕風も、窓に残る夕映も、妙にこの恋の狩人の心をそそのかします。
「さア、人様にきかれると、一寸困るけれど、まア、世間並に出来るのは、タイプライター」
「うん、それはそうだろうな」
「それから、山登りに泳ぎに、ゴルフに、スキーに」
「ま、待ってくれ、姉さんとは大変な違いじゃないか、――ピアノはどうだ」
「音楽は大きらい、ピアノに綱をつけてなら引いて見せるわ」
「驚いたなどうも」
「ことに流行歌と来たら、聴いただけでも歯が浮く位――お兄様の前だけれど、ウ、フ」
すべてこういった調子です。その含み笑いの妖しくも艶やかだったこと――
「これは手ひどい、まさに弾劾だな」
小杉卓二のようなしたたかな男も、この女には一寸歯が立ちそうもありません。
「その代り好きなものを言いましょうか、お兄様」
「ウン、面白いな、何が好きだ」
「浪花節とボクシングと、野球と――」
「猛烈だね」
「それから、あれ」
寿美子の指は戸棚の中の――硝子越しに見えるイタリー製のヴェルモットのビンを真っ直ぐに指しているではありませんか。
「それはうれしいね、同じことならウィスキーといってもらいたいが、ヴェルモットの方が無事でよかろう」