Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.713 Zeichen · 28 Bildschirme
その次の部屋は、いうまでもなく夢子が殺されたあの寝室――小さいが贅沢な部屋――窓を閉め切った、不思議な妖しい空気を感じさせる部屋だったのです。
「――――」
小杉卓二の態度の思いの外静かなのに釣られて、寿美子もそのあとに従いました。此家へ来てから三月にもなりますが、寿美子はまだ此部屋へだけは入ったことがなかったのです。
物珍らしそうに四方を見廻す寿美子、それと入れ違いになって、小杉卓二は扉のところへ小戻りすると、書斎との間の扉に、ピンと鍵をかけてしまいました。
「これでよし」
独り言をいい乍ら、それは実に無気味なほど落着いて居ります。
「まア、御兄様」
驚く寿美子を尻目に、
「其処へ掛けるが宜い。その椅子は、由紀子も夢子も掛けた椅子だ。――それから安心のために、鍵はこの通り」
卓二は持っていたニッケル鍍金の鍵を、扉の隙間から廊下へポンと放り出しました。
「まア、どうなさる積り、お兄様」
寿美子はさすがに蒼くなります。
「驚くことはない。この扉の鍵は二つ、あとの一つは婆やが持っている――その婆やは、日が暮れなければ帰って来ないのだ――日暮れまでには、まだたっぷり三時間はあるだろう。