Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.235 Zeichen · 22 Bildschirme
、湖月、亀清、柳光亭といった一流二流の割烹屋に押し上り、やがて麻布の興津庵、向島の雲月などという、ひねったところまで探険して歩いたものです」
海蔵寺伯爵の話はその頃から又二十年も前に遡りました。
「それから私は亡父の跡を相続して外国に遊び、遊学という名義で、実はうまい物だけを漁って歩いたのです。他の人達のように、真面目に学校へ行かないばかりでなく、オペラやコンサートに一流人の音楽を聴くでもなく、サロンやミュージアムに、古人の名画を見るでもなく、フランスを中心に、南は伊太利ギリシャ埃及から、西はスペイン、ポルトガル、東はドイツから中欧諸国、北はスカンディナビアからその頃の露西亜、英吉利まで、足に任せ、金に飽かして、食いに食って歩いたのです。この前後何年かに亙る食物武者修行の後、私は三十を越してから日本へ帰って来ました」
海蔵寺伯爵は話の一段落になったところで、アイスウォーターに喉を潤して続けました。
「日本へ帰って来て、さて私は日本の食物のまずいのに驚き呆れたのです。曾ての私を喜ばせた江戸の名残りの美味も、最早私を喜ばしてはくれませんでした。それは眼に訴える御馳走で、古風で、無技巧で、妙に気取った、まことに他愛もないものに過ぎなかったのです。