Japanische Klassiker mit Furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme
――いいえそうじゃない、このひとたちもみんな気の毒な身の上なんだ。こんなどん底のような生活へ堕ちるまでには、悲しい辛い事情があったに違いない。ああやって楽しそうに笑っているけれど、心のなかではみんな恥かしさと苦しさに泣いているのだ。
女たちはなおしきりに、その五人づれの侍客の噂を続けた。かれらは衣巻なにがしという、肥った若者を中心に、いつも同じ顔ぶれでやって来る。おなつはいちどしかその座敷へ出ないが、五人とも品のいい若者で、こんなところの女だからといってみくだすふうもなく、寧ろ面白そうに飲んで遊んで、ときにはかなり多額な金を置いてゆくということであった。
「でも北原ってひとだけはべつだわね」
「あのひと女嫌いなんですってよ」
「笑わしちゃいけないよ」お菊が鼻でせせら笑いをした。
「――男でいて女が嫌いなら片輪者さ、今はまあ堅そうに澄ましてるけど、むっつりなんとかって、あんなのがいちど味を覚えたらたいへんなんだから」
「じゃあお菊さんくどいたらどう」
「だめよ、お菊さん振られちゃったのよ」
「なにさ、そういうおまえだって」
きゃあと叫びごえがあがって、また叩いたり押したりして、みだらな言葉を投げあった。