Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちぎりきぬ

契りきぬ

山本 周五郎

Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

――彼女たちはそれぞれで、北原精之助というその侍を、ひそかに自分の客にしようと試みたらしい。最も縹緻のわるいお銀という女まで、あたしもよと云いだしたので、みんなはまたはじけるように笑い崩れた。

「よし、こうなったら意地だわ、なんとかしてあのひとを客にしようじゃないの、もしくどきおとしたら、――そうだね、みんなで金を集めてさ、それをそのくどきおとした者にやることにしようじゃないの」

「それあいいわ、やりましょう、そういう励みがつけば腕によりをかけて」

「まあ待ってよ、励みをつけるには金だかによるわよ、いったい幾らくらい集めるの」

「なにしろうちとしちゃ極上とびきりのお客なんだから、かあさんにも乗って貰って、そうね、まあ五両ってところかしらね」

さあしめた。それ嘘じゃないわね。すぐかあさんに話してよ。大丈夫、相手が相手だからきっとかあさんも乗るわ、それっぽっちすぐ取り返せるんだもの。じゃかあさんにみんな出させちまえ。――そんな騒ぎがしだいに遠くなり、おなつはまたいつか重苦しい眠りにひきこまれた。

そこは五十余万石の繁華な城下町のうちで俗に『河岸っぷち』といわれ、三十七八軒の下等な娼家が集まって一劃をつくっている。