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Japanische Klassiker mit Furigana

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おくさんのいえで

奥さんの家出

国枝 史郎

Lesen Sie 奥さんの家出 (おくさんのいえで) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.851 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

だが時々背後は向いた。

鉛色をした唇の、不良青年が杖をもって、その杖で時々合図をして、つけて来るのを知っていたからだ。

「どうしてああもあっさりと、家出することが出来るものでしょう? まったく私には不思議です。婦人というものは然ういうものでしょうか? もし然ういうものでしたら、私は婦人全体に向かって、拳を振るかもしれませんなあ。いや少くもボタンは締めます。勿論胸のボタンですよ。……そうは云っても婦人というものは、好もしいものでございますなあ。特に私の趣味から云えば、年増の婦人が好もしいので」

ここで私は咏嘆的に云った。

「年増女の美しさは、八月の肌を持っているからだ!」

更に一層歌うように云った。

「ああ小径には凋るる花、残んの芳香を上げている。――で、彼女――奥さんですがね、そういう女だったのでございますよ。結構な美しい婦人だったので」

だが私は考えた。「少し云い過ぎはしないかな? 奥さん讃美が例によって、しつっこくなりはしないかな?」構うものかと思い返えした。「云ってやれ云ってやれ、云ってやれ!」そこで私は猟り立てられたように、云い得べくんば物に憑かれたように、厭らしいまでに能弁に、こんな塩梅にまくし立てた。