Japanische Klassiker mit Furigana
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おくさんのいえで
奥さんの家出
国枝 史郎
Lesen Sie 奥さんの家出 (おくさんのいえで) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.851 Zeichen · 28 Bildschirme
「眼! ね、眼がよかったので! 尤もその眼の美しさに就いては『××××』というヤクザの作で――なァに、立派な作でしたよ、その作で描写したのですから、ここでは細描写ははぶきますが、一口に云うとこうなるので『彼女は其眼を持っていたため、そうして其眼を活用したため、「雌」とならずに「女」となった』と……どうしたって女というものは、どうしたって顔の造作の中に、特別に一つ美しいものを、保持していなければ不可ませんなあ、そうして夫れを活用し、愛人、もしくは良人の心を、ごまかさなければ不可ませんなあ。で、然ういう美しいものを、不幸にも保持していない女や、乃至は活用出来ない女は、古い云い来たりの譬喩ですが、(女)では無くて(雌)ですなあ。……ところが洵に有難いことには、私の奥さんは持っていましたので。そうして活用もしましたので、くどいようですが、眼! 眼をね! ……私といえども憂鬱になります。と云うより生活の九割迄は、憂鬱なのでございますよ。紅茶の入れ方が不味いと云っては、矢張り憂鬱になりますので。ところが何うでしょう奥さんですが、その不味く入れた紅茶なるものを、眼だけで美味いものに変えますので。