Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

Lesen Sie 如何なる星の下に (いかなるほしのもとに) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.508 Zeichen · 236 Bildschirme

Aozora Bunko

私が浅草に来たのは、一種の旅ではなかったのか。私は、それにその時初めて気づいたのであった。

私はさきに、部屋のなかの火の気といったら電灯より他にはなかったと書いたが、私の場合は、火の気はなくても一応冬支度の蒲団があるのだが、これは末弘春吉から聞いた話で、彼の友達の失業役者が、あらゆるものを質に入れてしまって冬の夜に薄っぺらな蒲団一枚しかなく、ほんとうに電灯の熱を利用して寒さを凌いだという話を聞いたことがある。彼は押入のなかに入って、閉め切ったその上段に煎餅蒲団にくるまって寝て、その下段に電灯を引張り込み、それにどこからか持ってきた途方もない大きな電球をつけ、煌々と光るその光で暖をとっていたというのだが、ほんとうにそれで暖が取れるものかどうか、私は自身試みたことがないので保証の限りでないが、彼は、そうしてとんでもない仕掛を新案電気ストーヴと呼んでいたと末弘春吉は言い、「とぼけた野郎ですわ」と笑った。私も笑い、全くおかしい話だが、哀しさがおかしさの裏からジワジワと滲み出てくる話であった。その哀しいおかしさは、話を描写的に書かないとちょっと伝えがたいことを私は知っているのであるが、実はその話を短篇に書いたことがあるから、重複するのであえてしなかったのである。