Japanische Klassiker mit Furigana
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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
Lesen Sie 如何なる星の下に (いかなるほしのもとに) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.508 Zeichen · 236 Bildschirme
――夢が遠くの空を飛んで行く。手のとどかない、捉えられない高さ。夢は、すげなく見る見る去って行く。
私は机の上に乗り出して、雁の飛び去るのを眼で追った。しまいに私は机から離れて、窓辺に立った。雁は隅田川の上流の方へ飛んで行った。ながいこと、私は窓際に突き立っていた。
――秋も、はや終ろうとしている。
この浅草のアパートに六畳間十二円のこの部屋を借りたのは、春が終ろうとする頃であった。小さな机に座蒲団一つ、寝る蒲団が上下、洗面器一個、それからあとはトランクのなかにおさまるインキとか灰皿とかコップとか手拭とか茶筒とか、――こんな工合に一々書き立てても造作のない、それだけの荷物を、人間の乗る自動車に詰め込んで大森の家からここへ運んできたのだが、夏に向う時分だったから、寒い季節に備えるものは持ってきてなかった。ところが、――雁がはるか向うに去って、蚤のように小さくなった頃(それまで私はずっと見つづけていたが)あたかも雁が黄昏の先触れででもあるかのように、急に空から黄昏が降りてき、黄昏は急に身にしむ寒さを一緒に連れて来た。
私は窓を閉めて机の前に帰った。両手を懐に入れて身を縮めた。